高感度磁気計測システムの研究

最も高感度な磁気センサである超伝導量子干渉素子(SQUID: Superconducting Quantum Interference Device)は医療分野,環境計測分野,非破壊検査分野等の幅広い分野で応用されつつあります。

SQUIDには,低温超伝導を用いたlow-temperature superconductor SQUID(LTS-SQUID)と高温超伝導を用いたhigh-temperature superconductor SQUID(HTS-SQUID)があります。
HTS-SQUIDはLTS-SQUIDよりも感度はやや劣りますが,計測システム全体の小型化が可能で,ランニングコストも安いといったメリットがあります。

我々は,小型でシンプルな計測システムを実現するために,HTS-SQUIDを磁気センサに使用して,高感度かつ実用的な磁気計測システムの開発と開発したシステムを用いた応用計測について研究を行っています。


1.卓上型超高感度磁気特性計測システムの開発と磁気免疫反応検査への応用

世の中の全ての物質は磁気に対する応答を示します。しかし,磁石に反応する物質以外の応答は小さく,一般的な磁気センサで検出することは困難です。
我々は,物性の評価や非破壊検査を目的とし,HTS-SQUIDを磁気センサに用いた卓上型の磁気計測システムを開発しました。
開発した計測システムには,物質の基礎的な磁気特性を評価するもの,免疫検査反応の評価に特化したものがあり,これらのシステムを用いて免疫検査反応における磁気ナノ粒子の特性変化を解明し,磁気的免疫検査法の実用化を目指しています。

K. Tsukada et al, IEEE Tran. Appl. Supercond., Vol. 26, No. 3, 1601405, 2016

 

2.電流が作る磁場計測による局所領域の電気特性評価システム

世の中には二次電池,太陽電池,燃料電池など様々な電池があります。
電池の特性を評価するには,電池から発生する電圧や電流を測定することが一般的ですが, 電流がどのような経路を流れているかなど,電流の分布を知ることも重要です。
そこで我々は,高感度なSQUID磁気センサを用いて電流が発生する磁場を計測し,
電池内部や溶液内の電流分布を評価するシステムの開発を開発しました。
これまでに,太陽電池内部の電流が作る磁場や電解質中のイオン輸送によって発生する磁場の計測に成功しています。
さらに,この手法を応用して電気化学インピーダンスを局所領域で評価する方法の開発にも取り組んでいます。