磁気を使った非破壊検査技術・装置開発

非破壊検査とは測定対象を壊すことなく検査を行うことで,放射線(X線),超音波,磁気などを用いた装置がこれまでに開発されています。現在の日本では,高度経済成長期に作られた建物,橋梁などが50年以上経過し,構造物に使用される鋼材の劣化が生じやすくなっています。そのため,表面から見ることができない鋼材の劣化状態を的確に診断できる非破壊検査技術が求められています。
 我々は,非接触でシンプルな検査装置が実現できる磁気を用いた非破壊検査技術の開発を行っています。従来の磁気検査法では鋼材表面のみの検査に限定されていましたが,我々の研究では,鋼材の表面だけでなく,内部の減肉や欠陥,き裂の検出を目指しています。


1.鋼材の減肉やき裂検査が可能な新規検査技術の開発

鋼板の内部で生じる腐食などにより板厚が減少したものを非破壊検査するため,磁気スペクトル解析を用いた極低周波渦電流探傷法を開発しました。これは,鋼材に極低周波磁場を印加し,各周波数で得られた磁場ベクトルの軌跡を用いた磁気スペクトルを解析することで,鋼板の内部腐食などによる減肉量が測定可能となります。
 また,内部き裂などを検出する不飽和交流漏洩磁束法を開発し,き裂位置の判定や深さの推定を行うことが可能となりました。この手法は従来の漏洩磁束法と比較して強磁場を印加する必要がなくなり,検査装置のポータブル化も可能です。

 

2.インフラ構造物への適用

開発した検査技術の実用化に向けて,実際の現場で測定を行い,検証を行っています。これまでに前述の新規検査技術を用いたポータブル検査装置を開発し,橋梁桁部や橋梁橋脚部の腐食を検査し,腐食による鋼板の減肉量を評価できることを明らかにしました。また,照明柱などの地際で発生する腐食部の検査にも応用し,地面を掘削せずに地表から検査することにも取り組んでいます。